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第三者割当新株予約権

第三者割当新株予約権とは

第三者割当新株予約権とは、企業が資金調達を行う際の選択肢の一つとして、年間100件程度実施されている資金調達手法です。第三者である投資家に新株予約権を割当て、投資家は権利行使をすることにより、発行会社には行使価額分の金銭が得られるため、資金調達が可能となります。
資金調達を目的とした新株予約権の場合、その新株予約権の評価の前提や付与対象者が異なることで考慮すべき要素が変わってくることとなります。また、発行する規模(発行株式数)も大きくなることから、既存の株主からすると希薄化の恐れが存在するため、発行会社は、有利発行の懸念も含め厳しい目でみられることに注意が必要となります。また、ストック・オプションの発行と異なり、関係当事者が増えることから各所への対応作業も増えることとなります。その中でも、近年、監査役への説明についてはより重要性が高まってきております。
新株予約権の種類としては、大きく分けて行使価額が変動するものとしないものの 2種類あります。どちらにも一長一短があり、発行会社の置かれている状況と今後の資金調達の予定を考慮して決定する必要があります。行使価額が変動しない行使価額固定型の新株予約権は、行使価額が満期日まで一定であるため、株価が行使価額よりも高くならなければ希薄化は起こりませんが、株価が下がってしまった場合には思い通りの資金調達が出来ない可能性があります。一方、行使価額が変動する行使価額修正型の新株予約権では、株価下落時においても行使価額が下方に修正される(ただし、下限値が設定される)ことから、資金調達の確実性は高くなります。また、修正型には、修正の頻度により、毎日、1週間毎、1ヶ月毎、半年毎など一定の頻度が定められるものや、任意の一時点で1回のみ行われる等の様々なパターンがあり、後者のパターンほど固定型に近づくものとなります。なお、取引所の規程上、6ヶ月間に1回を超える頻度の修正型は、開示内容が厳格化される等の規制に服することとなります。
最近では、同時に複数回号発行し、それぞれの行使価額を段階的に上昇させることで、固定型でありつつ修正型と概ね同様の効果をもたせた例もあります。資金調達を行う企業の資金需要は発行時の一時点のみではないことも多く、資金の必要時期に応じて段階的に調達することが一般的であり、これが可能となるのが新株予約権の長所でもあります。計画通りに事業が進捗していれば株価は上昇していることが想定され、行使価額もこれを想定して高く設定することにより、発行時の株価水準で資金調達するよりも調達額は多くなるため、発行会社としては少ない株式数でより効率的に資金調達できることになります。一方で割当先としても、行使価額が高く設定されているため、発行時の新株予約権の評価額が下落する結果、発行価額(初期投資額)を抑えることができるというメリットもあります。

新株予約権を用いることのメリット・デメリット

メリット

新株予約権を用いることは、株式をすぐに発行することと異なり、権利行使されなければ株式は発行されないため、希薄化が一度に起こることを防ぎ、なだらかな希薄化となります。すぐに資金が必要ではないが、今後の投資資金のために調達手法を確保しておきたいという状況の発行会社にとっては、前もってその準備が出来ることがメリットと考えられます。
一方で、投資家側のメリットとしては、リスクを回避できることにあります。発行後、株価が期待通りに上昇しなかった場合、普通株式で投資していた場合には下落分が損失となりますが、新株予約権での投資であれば、権利行使をしなければ損失は最初の払込金額だけで済むこととなります。

デメリット

新株予約権で資金調達する場合、投資家による新株予約権の権利行使が必要になるため、資金調達に緊急を要する場合には向かない手法と考えられます。また、発行後株価が下落してしまった場合、行使価額よりも株価が低い状態で権利行使を行う投資家はいないため、資金調達が思い通りに進まないという可能性があることに留意する必要があります。
投資家側での大きなデメリットはあまり無いですが、あえて挙げるのであれば、権利行使価格に加えて、新株予約権料(オプション料)を追加で最初に支払う必要があるため、その分多めの資金負担があることが考えられます。また、株価が下落基調のまま権利行使期間の満期日まで経過してしまった場合、払ったオプション料がそのまま損失となる可能性がある点がデメリットと考えられます。

希薄化流動性

第三者割当新株予約権の評価にあたり、基礎的なパラメータ以外の重要な要素として、市場の流動性が挙げられます。従業員向けのストック・オプションにおいても考慮することは考えられますが、資金調達となると、発行する株式も多くなり、より重要なパラメータとなってきます。
市場の流動性が非常に注目された事例としては、最近ではリーマン・ショックが挙げられます。当時は、関係各所がこぞって自身の保有ポジションの再構築を迫られていたことが想定されたことに加え、市場では荒れ相場が今後も続くものと考えられていました。そのため、対象銘柄のボラティリティが今後も上昇する(市場価格は激しく乱高下する)ことが見込まれ、取引の注文が一方向に偏っていたと考えられます(ボラティリティの買いポジションを持とうという動き(買い注文)が強くなっていました)。そのような、相手方(売り注文を出す側)がいない状況(流動性が少ない)において新たな取引を実施するには、より多くの取引コストが必要な状況であったと推測できます。
 
流動性は、会社毎に異なり、上場会社であっても、毎日大量に株式の売買がされている会社もあれば、全く出来高のない会社もあります。そのような状況で、仮に同じ株式数の新株予約権を発行した場合、あきらかに後者の方がキャッシュ・フローの実現可能性が低いことが伺えます。つまり、流動性が低い(売買出来高が少ない)ということは、売却したい時にスムーズに売却ができず、売りが残る形となり、それは株価を下げる要因となります。そうなった場合、売れ残りの株式の価値が、行使価額よりも低くなってしまう場合もあります。逆に、流動性が十分に確保されている会社の株式であれば、そのような売れ残りの心配もなく、若干の株価の変動はあるものの、その時点の時価に等しい値で売却することが可能と考えられます。
近年の第三者割当新株予約権の評価においては、そのような現実の市場を考慮するため、市場で売却できる株式数の数に制限を設けることで、投資家(付与対象者)にとっては不利な足かせとなりますが、実際の市場の影響を考慮している点で、より実際のマーケット環境に則した価値を評価しているとも考えられます。

プルータス・コンサルティングの強み

プルータス・コンサルティングは、創業以来10年以上、数多くの新株予約権の発行事例に関与してきております。その関与事例の中では、株主である機関投資家から有利発行を理由とした発行差止仮処分命令の申立てがなされたものの、東京地裁は、「プルータス・コンサルティングの算定結果に不合理な点はない」との決定を下し、新株予約権に関する発行差止仮処分申立事件において、発行者側の主張が認められた初の事例もあります。
発行企業、引受者、株主の三者の利害が複雑に絡むワラントの発行事例においては、現在様々な条件を絡み合わせた商品性のものが数多く生まれています。それらの多くには、行使価額が変動するものや任意取得条項などの条件が付加されており、発行価格の評価を行うには、金融工学やファイナンスの専門知識が求められます。
上記のような複雑な条件を適切に評価モデルに反映させるため、金融工学やファイナンス理論の専門家により様々なモデルを研究し、適切なアドバイスを実施することが可能です。

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